U-MAIL(ウンコ通信) 2001/11/14 


「NYテロ・余波」(6)

えー、イロイロな言説、もうちょっと追ってみるか。

「他人の不幸を待つハゲタカみたい」

=「広告批評」11月号 「ああでもなくこうでもなく」:橋本 治 =

例によって、タイトル通りアーデモナクコーデモナク、紙の上を巨大なナメクジ這いまわるがごとき文体。イッパンのヒヒョーカの、自らのケツロンに向かって律儀にロンリ積み上げて行くのとマルデ違って。ナメクジノロノロナニネバル、というコシの強さ、このネバネバの痕は、時には遠く平安にまで伸びたりもするのだよ。は。

私は、日本人というのはとんでもなくバカになったんだなと、同時多発テロ以来のパニックの中で思う。関係ないくせに「関係ある」と勝手に思って、「なにかさせて下さい」と首を突っ込みたがる、やじ馬の意識を欠落したやじ馬みたいだ。ボランティアに参加する機会だけを待っている善人というのは、かなりいやなもんだ。

たしかに。そのムイシキ過剰の「善人」を「ハゲタカ」と呼んでしまうのが橋本流。

「関係ない人間」には「関係ない人間」のポジションというものもあるのだ。戦争には、「終わらせるための交渉」が必要で、その仲介をするのが「関係ない」という立場を取った国なのだ。「関係ない」には「関係ない」なりの積極的な意味がある。日本政府にそういう考え方をする人はいないらしい。「参加しなきゃ恥をかく」だけで参加して、なにをするんだろう?「テロ対策法案」、つまり、自衛隊の海外派遣に賛成する人の方が今じゃ多いらしいが、それって、自分のポジションに対する誤解じゃないか?

「関係ない」という立場を取ったら、それなりに「やるべきこと」はあって、今じゃそっちの方が大変なんだけどな。つまりそれは、「世界平和に貢献する」ということだから。

ごくマットーな結論に落ち着くまでの、このナメクジの執拗っこさ。でもそれが説得力にツナガルわけ。ナメクジのネバネバは、四方八方にロンリを吐き出し紡いでみせる。こうなるとほとんど蜘蛛だけど。例えば。

日本で「軍備」という種類の議論が絶対に噛み合わないのは、日本人がもう、「自分が人を殺す、人に殺される」という前提を持っていないからだ。

だから、オウムの人間は、銃より先、サリンを取った。銃は、「自分も殺される」という可能性を高くする武器だからだ。

「ハイジャックで突っ込んだ人間は死んだ」と、「炭疽菌をばら撒いた人間は死んでいない」という、二つの事実の間には、大きな隔たりがある。「命を賭けて戦う」は聖戦になっても、「命を賭けずに殺す」は聖戦になりえないだろう。

ウム、ここには多分ワザと、「カミカゼ」への言及は無いけれど、ワメら昭和ヒトケタは軍国少年のムカシ、ごくごく稚いモノにせよマジで、「カミカゼ特攻隊になっての自爆」のイメージを何回となくココロの中に反芻したオボエがある。そのことについては、いずれ材料揃えて検証してみる必要があるのだが。その心情からすれば、炭疽菌のバラまきは、たしかに「卑怯」であり、その「匿名性」は誘拐、脅迫など、平和社会のなかの「電話犯罪」に近い。

さて、テロの王様ビン・ラディン(これはワメの命名)の行動理由の大モトにあるパレスチナ問題に関して、この巨大ナメクジ先生、

既に「イスラエルがパレスチナという国家の独立を認めるか」というところまで煮詰まって来ていると思う。

と見解示した上で、

どうして我々は、キリスト教圏を「分からない」とは思わずに、イスラム圏を「分からない」と思うのか?

とネバり始め、

キリスト教が分かるようになったのは、何度も何度も戦争をやって、国境線というものを確定させて、それぞれの「国家」というものを明確にしたからだ。イスラム圏は果たしてそれをやったのか?それをやろうとする時期に、「欧米の植民地になる」という厄介が降って来たから、すべてが中途半端で曖昧になっている。第二次世界大戦には「ヨ−ロッパを分かりやすくさせた」という意味がある。それを「意味」にするのが「経験」なんだから、「やなことやって経験を積む」も必要なんじゃないかなと思って、物騒な言葉を持ち出したのである。

その物騒なコトバとは、

それもまた第三次世界大戦


「日本人へ!」

=「文芸春秋」12月号「日本人へ!〜ビンラディンにどう勝つか〜」:塩野七生 =

それにしても、このタイトルはちょっとスゴイ。深い学殖と研究によって、もはや殆どイタリア人である塩野女史が、はるばる海を越え、アタフタみっともない祖国の施政者どもに授けるテロ攻略法。

女史の学殖に振り回されると、ワメのアタマのレベルでは、ナニガナンダカ分からなくなってしまう。いろいろな歴史的ウンコ引例バッサリ省略して、その攻略法のエッセンスだけ受け売り。

ビンラディンに、勝つための方策。それは、結局、テロを正当化する理由を、彼から奪い取ること。

とした上で、それを裏付けるいくつかのインタビューを紹介。あの石油ショック時に、われわれも名前覚えたサウジアラビアのヤマニ石油担当大臣。

このテロリズムの最も深い要因は、いまだに解決できていないパレスチナ問題にあるとおもいますか?

というドイツの新聞のインタビューに答えて。

もちろんです。アメリカはイスラエルに、いいかげんにしろ、と明言する必要がある。

イタリアの新聞のインタビューに答えた39歳のヨルダン王。

ビンラディンと闘うに際し最も強力で有効なる武器は、イェルサレムの分割も含めたイスラエルとパレスティーナの問題の解決である。この問題の解決さえ成れば、彼らの寄って立つ支柱を倒すことができる。

で、ここからは、それに対する女史の「具体策」

9月11日を境に時代が変わったのならば、経済援助のやり方も変えようではないか。地道で継続的な対処を求められる地での援助は先進諸国がそれぞれ、一国ないし一地方の再建を、丸がかえに近い形で責任をもって当たるのである。なぜなら、これはもはや政治であるからだ。ちなみに慈善とは、こちらのトクにはならないけれどやるべきことだからやります、だが、政治とは、こちらにもトクになるからやります、である。

この際われらが日本は、パレスティーナの国家の支援に名乗りをあげてはどうであろうか。パレスティーナが独立した国家として誕生していない今すぐに名乗りをあげるのだ。

具体的には、パレスティーナを専門に担当する、省か庁を新設する。この機関は外務省から独立した組織にしなくてはならない。また、政府は代わってもこの機関とそのトップは継続する、というシステムにしておく。

ウム、当然不可欠のココロクバリ。そして、塩野女史は、トップ最適任者として、きわめて具体的に、「前国連難民高等弁務官・緒方貞子女史」を名指しする。さらに。

日本が本腰を入れて立ち向かっていることのインパクトを強めるためにも、パレスティーナの人々に職を与える。

ために、

トヨタ、ソニー、ホンダ等の世界で知名度も高い、日本の代表的な企業にも進出してもらう。

すべての目的は、テロリストたちのかかげる旗印を奪い取ることにある。

オー、ソレ見よ!イタリア・リアリズムというか、マキァヴェリ風というか、日本の口舌専門のオトコども顔負けの施政プラン。呼び掛けられた「日本人」として、ド−スルド−スルあなたなら。


パレスチナ問題がテロにツナガルことは「大風吹くと桶屋が儲かる」よりも、ズットわかりやすいロンリ。その大元が、ジョン・ブルのバルフォー三枚舌にあったことも、今では誰もが承知の助。だからどーした、といわれてもワメは困るのだけど。


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