U-MAIL(ウンコ通信) 2003/04/18
えー、昨秋以来、沢山の賛同署名FAXを頂いているワレワレのイラク反戦運動「NO,NO,BUSH!」その中心に在って、精力的に活動を続けて来られた木村三浩氏が、イラクが壊滅させられた今、今後の対応について、世界の「愛国的」民族主義者たちと意見を交わすために、今日、フランスに出発されました。木村氏の行動に期待し、無事を祈りつつ、彼が書き残していった「緊急レポート」をお届けします。
★緊急「キムラ・イラク・レポート」 4/18
★アメリカのイラク攻撃を検証する 〜全アラブをパレスチナ化する,そのネオコン戦略〜
*アメリカのプロパガンダがまた始まった
イラク侵略開始からわずか二十一日目にして、米英軍は首都バグダッドを陥落させてしまいました。フセイン大統領の銅像が引き倒され、一部の民衆は「積年の恨みを晴らす」かのように像を足蹴にし、歓喜の声を上げました。この様子をテレビ中継で見ていたブッシュ大統領は、興奮のあまり「ついに倒したぞ!!!」と、子供じみた叫び声をあげたといいます。
一つの体制が崩壊するときには、必ずこうした象徴的なシーンが現れ、後々までプロパガンダとして利用されるものです。アフガン攻撃後も、マスコミは「解放されて喜ぶアフガン国民」の表情ばかりを報じ、そもそものアフガン攻撃の不当性や、被害の深刻さを覆い隠してしまいました。ですからその点を踏まえて冷静に受け取るべきだと思います。最近ではCIAによる「やらせ」説も出ており、市内に点在するフセイン像のうち、あえて報道関係者が多いパレスチナ・ホテル前の銅像を選んだのも、その効果をきちんと計算してのことでしょう。
とはいえ、イラクと親交を重ねてきた私にとっては非常に残念な出来事でした。湾岸戦争以後の12年間で、私は23回イラクを訪問し、故人も含めて50人の「同志」を作りました。家族も含めれば200人以上の知己がいます。彼らが経済制裁や空爆などに耐えながら、いかにたくましく、プライドをもって生きてきたか。それを見てきただけに、彼らの胸中を思うと悔しさがこみ上げてきます。
攻撃開始の二週間前まで私はバグダッドにおり、互いに「兄弟」と呼び合う親友のアブドル氏とよく話しました。彼はNASYO(非同盟主義学生青年会議)という国際組織の事務を担当する、バース党の中堅幹部です。普段はジョークばかり言っている彼が、戦争の話になると真剣な顔で「俺は死ぬまで戦う」と語り、こんなことを頼んできました。
「イラクの立場を、政治的な意味も含めて理解してくれる人は少ない。だから木村は日本に無事に帰って、私たちの戦いぶりを見守って欲しい。そして、我々がこの十二年間、どんな大義をもってアメリカと戦ってきたか。それを記録し、語り継いで欲しいんだ。それと私が死んだら、残された家族に出来るだけのことをしてやってくれないか」
今にして思えば、この時点で彼はアメリカの攻撃を不可避と考え、フセイン政権崩壊もあり得ると踏んでいたのでしょう。アメリカの圧倒的な軍事力には太刀打ちできないと分かっていたのです。しかし、たとえフセイン政権が力でねじ伏せられたとしても、自分たちの戦ってきた「大義」まで抹殺されてはやり切れない。だから私に、それを語り継ぐことを託したのだと思います。
湾岸戦争以来イラクはパレスチナ問題の公正な解決を訴え、9・11事件の際には「自業自得」と言って決してアメリカを容赦しませんでした。超大国アメリカに、単独で立ち向かっていたのです。一方でアメリカは9・11以降ますます横暴になり、世界を国益に見合うように解体・再編しようとしています。本来なら今こそ、イラクのような気骨ある国が必要なのです。たとえイラクが負けても、アメリカに「物申す」勢力は絶対に必要です。誰かがその役割を引き継いでいかなくてはならないのです。
私はそうした決意も込めて、アブドル氏に「必ず約束を果たす」と告げ、三月二日、帰路につきました。それから二週間、講演やマスコミのインタビューを通じてイラク攻撃の不当性を訴え、集会やデモにも何度となく参加しました。しかし、とうとう三月二十日、米英軍はイラクへの侵略を開始。私はこの不正義の日を生涯忘れないと思います。
*これは卑劣な「騙し討ち」
日本から戦況を見守った限りでは、イラク国民は戦力差をものともせず、よく戦ったと思います。最新兵器で武装したアメリカ軍と、経済制裁で物資不足に悩むイラク軍の戦力差は100対1といわれ、最初からフェアな戦いではないわけです。逆に、戦死者の数はアメリカが百数十、イラクが万単位とされ、ちょうど1対100ぐらいです。これは大量虐殺といっても差し支えないでしょう。
それでも「祖国のために命を賭けて戦う」というアブドル氏のような人たちが戦線を支えていたのです。その意気込みを「強がり」「ハッタリ」と揶揄するのは簡単ですが、実際に戦った人たちの「志」には最大限の敬意を払うべきではないでしょうか。それに、アラブ諸国から義勇兵が続々と出征したのも、これが「義」のある戦いだったからです。
今後、イラクへの「侵略攻撃」について様々な検証がなされていくと思いますが、「イラク国民が解放された」「民主化の第一歩」などと喧伝する米英マスコミのプロパガンダに踊らされて「結果オーライ」的な見方をすることは避けたい。今回の攻撃のそもそもの不当性を水に流してしまったら、問題の本質を見失います。
イラク攻撃の根拠は、当初の「9・11テロへの関与」から「大量破壊兵器の脅威」へとすり替わり、それが国連に認められないと分かるや「フセイン政権打倒」という本音がむき出しになりました。だが、独立国イラクへの内政干渉は明らかに国際法違反ですし、これまでの国際秩序を全て破壊する暴挙です。それが「石油利権確保」「イスラエル防衛」「中東の民主化」というアメリカの手前勝手な国益のために行なわれたのならなおさら、許すわけにはいきません。
今回、イラク側はあくまで平和を望み、戦争回避の努力を最後まで続けていました。そこに一方的に攻め込んだのだから、これは「戦争」ではなく「侵略」です。2月の時点では、国際的な反戦集会の場でフーダ・アマーシュ女史(バース党地域指導部)が、「イラクは戦争をなんとか回避したいと考え、査察に協力しています。そこを公正に評価してほしい」と訴えていました。
実際にイラクは査察を受け入れ、抜き打ち調査はもちろん、ヘリコプターやU2偵察機を使った査察にも応じています。3月からはミサイルの廃棄作業も進めていました。それなのに、なぜイラクが攻撃されなければならなかったでしょうか。どのみち攻撃されるのなら、軍事的な不利益をもたらす査察など受け入れないほうがマシでした。査察を通じて機密情報を洗いざらい開示させ、ミサイルを廃棄させた挙げ句に攻撃するとは、あまりに卑劣な「騙し討ち」です。
案の定、米英軍は大量破壊兵器を未だ発見できずにいます。イラクは最後まで生物化学兵器など使わず(持っていないのだから当然ですが)、道義を守り、潔く戦ったのです。軍事的には敗北しましたが、政治的・道義的に勝っているのはイラクの方ではないでしょうか。
*イラクの複雑な事情を無視したアメリカ
アブドル氏が命をかけて守ろうとした祖国は今、米英軍の軍靴に踏み荒らされ、「アメリカ流民主主義」の傀儡政権を押しつけられようとしています。だが、アメリカの思惑通りに進むほどイラクの現実は甘くないと思います。
今のところは一時的な解放感に浸っているものの、イラク国民の反米感情は簡単には消えることのない根深いものです。湾岸戦争や、その後の空爆に対しての怒りはもちろんあると思いますが、根本的には、アメリカがイスラエルの支援をやめ、サウジアラビアから軍隊を引き揚げなければ、反米感情は収まらないでしょう。しかも、イギリスによる植民地支配の苦い経験から、異民族から支配されることには強い抵抗感を持っているのです。米軍への自爆攻撃や反米デモは、これからも続くと思います。
しかも、厄介なことに、イラクは多民族・多宗教・多部族で構成されるモザイク国家で、統一性を維持するのは至難の業です。ユーゴスラビアにおいてチトーの死後、民族同士の対立が再燃したように、フセイン政権というタガが外れたイラクで、同様の事態が起こらないとも限りません。今でも連絡を取っている在日イラク人たちの中にも、そうした懸念が広がっています。経済制裁の解除で一時的に生活が良くなっても、国内で内戦状態にでもなれば、収束するコストの方が余計にかかるのです。
また、イラクが「アメリカ流民主主義」の根幹をなす複数政党制を採り入れたとしても、根強い反米感情をテコにバース党のような民族主義政党が再興するか、トルコと同様にイスラム政党が躍進するか、いずれかになるでしょう。選挙を通じて合法的に政権を取ったのなら、アメリカにも文句はいえません。余計な介入をすれば反発を招くだけです。
アメリカが掲げる「イラク解放」とは、極端にいえば西洋が非西洋の文明を叩きのめし、自分たちの「正義」を押し付けるプロセスに他ならないのです。しかも、今回の攻撃でアメリカが得るであろう利益は莫大です。新兵器の実験と旧式兵器の在庫処分によって軍需産業を潤し、戦後復興にはアメリカ企業を参入させ、イラクの地下に眠る世界第二位の埋蔵石油の利権を確保する。勿論、短期的にはブッシュ大統領の次期再選や、経済関連の失政から国民の目をごまかすことも考えているでしょう。
こうした目的で行なわれた戦争で、イラク軍側では数万人が死亡し、民間人は約二千人も殺されています。イラクの人々を殺すことでアメリカが利益を得るというこの構図は、かつて岡倉天心が述べた「西洋の栄光は東洋の屈辱」そのものです。とりわけブッシュ政権は、高官たちのほとんどが、戦争で利益を得る大企業の顧問などを務める「利権屋集団」なのです。彼らを「鬼畜米英」と言わずして何といったら良いでしょうか。
この最も基本的な点を忘れて「力こそ正義」という論理に傾けば、必ずや世界は破滅に向かうでしょう。アラブ・イスラム世界ではアメリカへの怒りがくすぶり続け、それが新たな抵抗への狼煙となって燃え上がるでしょう。サウジアラビアやエジプトが親米路線をとる中で、イラクだけが「アラブの大義」を貫き、パレスチナ人を物心両面から支援してきたのです。民族解放闘争を担う意志のあった唯一つの国を、アメリカは力ずくで潰してしまいました。これに対するアラブ民衆の怒りは頂点に達しています。
大義も正義もない不当な侵略に対しては、今後もきちんと批判の声を上げていかなくてはなりません。誰かがアメリカの暴走を止め、アメリカの犯罪を裁かなくては、今後も同じことが繰り返されるからです。帝国主義的な野望をむき出しにしたブッシュ政権は、今後も世界のあちこちで「力の不正義」を振りかざし、国家の主権や民族の伝統文化、宗教的価値などをアメリカ流に解体していくでしょう。「次はシリアだ」という声も聞こえてきます。
「中東の民主化」を主張して憚らないネオコンの政治家たちは、自分たちの政治体制や価値観、正義などがアラブでも通用すると本気で考えているのでしょうか。だとすると傲慢で愚かとしか言い様がありません。現実には、アメリカの軍隊がアラブ諸国を侵食すればするほど民衆の抵抗運動も激化するでしょう。アラブ全体が「パレスチナ化」するという、最悪の事態すら考えられるのです。
私はイラクの親友との約束を果たすためにも、各国の同志とより連帯し、アメリカの横暴を批判していく所存です。世界一の軍事大国に「力」でかなう国は今のところありません。しかし「力の不正義」に屈してはならないということを、私はイラクの友人から学んだのです。長い道程になりそうですが、あくまで志操を貫き、政治・軍事・道義的な面からアメリカを裁いていきたいと思います。
*NATIONALISM ではなく PATRIOTISM による連帯を
その一環として私が取り組んでいるのは、各国の民族主義者との連帯です。18日からは「フランス国民戦線」の30周年記念党大会に出席するために渡仏します。昨年春のフランス大統領選挙でルペン党首がシラク大統領と一騎打ちを演じたので、ご記憶の方も多いと思います。会場ではスピーチをする予定になっており、ルペン党首をはじめ各国の民族主義者と意見・情報交換を行い、連帯を強化してきたいと思います。
民族主義というと偏見をもたれがちですが、英語でいう nationalism ではなく、patriotism の方です。それぞれの民族が互いにそれらしくあることを尊重し、民族や国の独自性(伝統文化・歴史・価値観など)を破壊するような動き(アメリカ主導のグローバリゼーションなど)に警鐘を鳴らし、対抗する方法を模索しています。1月にモスクワで行なわれた「世界愛国者会議」では、集まった政党や組織のほとんどがアメリカのイラク攻撃に反対し、共同声明も出しています。
今回の大会においても、「アメリカのイラク攻撃をどう総括するか」が話題の中心になるかと思います。
2003/04/18 木村 三浩
ウム。キムラ氏の胸中を忖度することはツライ。しかし、感情にオボレず、堂々と「正説」を述べる木村氏に強い共感をオボエる。反論あれば、FAX下さい。今、彼のごとき「国士」がフッテイしておることこそが、日本の未来の暗さだと、ワメは感じる。
*ワメの基本的考え:
サダムの国内的暴虐(正確なところはワカラナイが)と、大量殺戮兵器所有(正確なところはワカラナイ)とは次元の異なるモンダイ。
ネオコンが中東にスリ込もうとしておる「デモクラシー」、それ自体ワルイモノではないにしても、「世界的普遍」価値があると考えるのはゴーマン、というより無知。
その点で、「テモクラシー」は「シホン主義」とピッタンコ同質。「世界的普遍」と称するグローバリズムは「末期シホン主義」に他ならぬ。ヒトコトでは説明し切れぬが、ドッチもキリスト教エネルギーのブンメイ転換物。イスラム教はエネルギー未転換なのだ。