U-MAIL(ウンコ通信) 2003/06/30 


新刊大書評:

「犬に尊敬される飼い主になる方法」

マルコ・ブルーノ 著 (ハート出版・¥1300)

えー、マルコ・ブルーノは、もともとバイリンガル人間、いや、マルチリンガル人間だ。ワメが彼を知ったのは100年もムカシ。オーストリアから「会計士?」として来日したハズのこのオトコは、いつの間にやらCMの世界に入り込んで来て、作詞・作曲・ナレーター、なんでもコナし、英語、ドイツ語はモトヨリ、イタリア語からロシア語、その他にもワケのワカラン外国語を喋りまくって居った。多分その中に犬語も入っていたのかも。

たしかヨシワラの近くだったか、下町に住み、若手落語家連中と付き合ったり、スシ喰ったりしながら、いつの間に身につけたのか、正月にはクロートはだしの獅子舞を披露したりしていた。

バブルの最中にワメの事務所に打ち合せに現われた時には、仕事ソッチノケで、デンワに噛り付き、「売れ」とか「買え」とか、カブト町へ指令を飛ばしておった。少々スッタらしいけど、ナントカ売りヌケたようだった。いわゆる目から鼻へヌケるオトコなのだよ。

次に現われた時は、キンキラキンのヘルメット被ってキンキラキンのマシンに跨がり、カメラ片手に、日本中の「秘境」を巡り、それに紀行文めいた文章くっつけて、アチコチの雑誌に売りまくっていた。その頃はまだ、日本語文章にチョイとオカシナところもあって、アドヴァイスしたりしていたのだが。

次に会った時、イカナル風のフキマワシか、彼は突然「ボス犬」になって居た。その頃自らも人生サマヨった挙げ句住みついていた日本ドナウ川の岸辺に、よる辺なくサマヨウ無数の捨て犬を見て、深くココロを痛め、片っ端から自宅に招いてそのボスにオサマったのだよ。

シッチャカメッチャカな末期シホン主義のこの島国で、ココロスサんだニンゲン達から、ヒドイ仕打ちを受けて心身トモに傷ついていた犬たちは、荒野さまよう12使徒のごとく師マルコを慕って寄り集まり、その愛の庇護の下で、ココロ安らかな明るい暮らしを取り戻したのだよ。ウワサを聞き付けて、全国から、ワンサワンサと捨て犬が集まって来た。猫までキャッキャットやって来たのだよ。

で、目下のところ、豪壮な1軒のビルの中で、16匹の犬と7匹の猫が食事・排便・散歩・睡眠・享楽を共にしているわけだが、その中でボス格の2匹の犬、ドンハリーが、ふと、イイコトを思いついたのだ。師マルコの教えを自分たちで本に書いて、その印税を師に贈ろうという計画だ。まァ、言うなれば、犬たちによるマルコ伝さ。

師マルコは、既に「マルコの東方犬聞録」を初めとして、数冊の本を出版済みである。ここはヒトツ、ワレワレの「ワンワン対話録」を日本語訳の1冊にして、師の名前で世に送り出し、世間を犬蒙するとともに、師にイササカの小遣いカセガセよう、という涙グマシイ、ワンワン物語なのでありんすよ。

飼い主の性格がソノマンマ飼い犬に出る、と言われている通り、ドンとハリーの会話も冗談キツイというか、かなりアグレッシヴ。例えば:

ドン:「間接的に税金を払っている立場の犬としては(つまり師マルコは犬たちのことを本に書いてその印税で自分自身と犬たちを養っている、ということを言いたいのだろう)これだけは、役人に言っておきたい! 税金の一部で保健所が《犬をつないで飼いましょう》などといった、くだらない印刷物をつくったり、ぼくたちの仲間を捕獲して殺すのは、ヤメロ! お父さん(マルコ師のことを普段、犬たちはそう呼ぶ)が言っていた。先進国のなかでこんな野蛮なことに税金をつかっているのは、日本だけだって」

ハリー:「ほんとうだぜ。この国の官僚たちは《なんでも管理したがる症候群》にかかっている。よい管理だったらいいけど、俺たち犬を《めんどうをおこすんじゃないぞ》と、あたまから否定する態度が、ミエミエなんだよな。捕獲した犬や猫は、どこからも文句が出ないうちに殺処分。それこそ死人に口なし」

ドン と ハリーウム。とても犬とは思えないスルドイ観察だ、などと言ったら、サベツだ!と咬みつかれるかも知れないが。ワメに言わせれば、この《なんでも管理したがる症候群》こそ、この国をダメにしている《トーダイ・ホーカ型ニンゲン》の、救いようもないビョーキなのだよ。

税金徴収して、それを国民にフリワケルことのみを無上のヨロコビとし、その過程で発生する権力に異常なシューチャクを示す。少なくとも100年オソイ「立身出世」背中に、「バカの壁」乗り越え、都会中央めがけて蝟集するイナカモノ。 明治建国時にはトモカク、今や完全に賞味期限切れの、この《トーダイ・ホーカ型》をキレイサッパリゴミ出ししてしまわなきゃ、デフレも道路も外交もヨクナル筈は無い。なんとも見事な犬識じゃ。

まァ、ソンナコンナで、この本、「犬を飼いたい」と思うニンゲンの必読書。ノンバンクのCMのチワワなんぞにソソラレて、犬飼う気になったニンゲンなどは、100冊ほど買い込んで100回読むべし。は。



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