U-MAIL(ウンコ通信) 2003/09/21 


「ヘラ鳥ウォッチング」

えー、わがクリストフ君、例の北極油田の取材にアラスカに飛んだのだけど、その北極生活の副産物として、「捕鯨」に関しての記事を送って来ておる。今、アメリカの大問題、北極油田開発についての数回の報告は、その中マトメテご紹介する心算でありますが。


「A WHALE OF A DIET」:9/19

「クジラ食べて痩せようぜ〜エスキモー式ダイエットをめぐる偽善」  N.D.クリストフ

(アラスカ・カクトヴィック発)

アトキンス式ダイエット、サウスビーチ式ダイエット、ディーン・オーニッシュ式ダイエット、ダイエットの流行にもイロイロありますわな。

そこで今日は、ワタシが今回の北極タンケンから得たダイエットをご紹介致しやしょう。1週間で10ポンド痩せること請け合い!

それは、伝統的エスキモー式ダイエット。

鯨の脂肪とカリブー(森林トナカイ)の肉、その他エスキモー達が捕獲したモノだけを、彼等に倣って食べていれば、いかなるデブも急激にスリムになる。

此処、カクトヴィックのイニュピアト・エスキモーが、シーズン最初の鯨を捕ったその日に、ワタシはダイエット信奉者相手に、ベストセラーを書いてバッチリひと儲けする霊感を得たのだよ。

毎年、彼等は、自分たちの生存用食糧として、鯨を3頭だけ捕ってイイことになっているのだ。その日、街はお祝い気分でウキウキルンルンとなる。

その日、小学校は休み、商店も休み、郵便局まで休みとなる。雪がチラチラと降りかかる海岸に270人の住民全員が集まり、捕鯨漁師たちが冬期用の肉と油脂を持ち帰って来るのを歓声挙げて迎えるのだ。

年寄たちはイニュピアト語でアレコレ喋り、子供たちはハネ回る。一人の娘は、13メートルもあるセミクジラに目を見張って叫んだ。「デッカイワァ!」

2台のブルトーザーが、鯨を海岸に引っ張り上げる。子供たちは鯨の頭の上に乗っかって踊り、大人たちは解体し始める。一人の男は、役目として、時折ライフルをブっ放し、腹を空かせた北極熊が、ウロウロと海岸に近付いて来るのを追っ払う。

先ずは、ムックトックと呼ばれる皮の切片と脂肪が保存壷に入れられ全員に回される。

「ほら、このケチャップかステーキ用A−1ソースをかけると旨いぜ」と一人の男が差し出してくれた。此処の人々はムックトックを少しづつ食べる。ワタシも食べてみて、そのスバラシサを実感した。ここにエスキモー式ダイエットが彼等のウエストラインを細く保っているヒケツがあるのだよ。

国際フォーラムの「鯨を殺すな」敬虔主義に逆らって、アメリカが強力に、正当に、アメリカ・インディァンやエスキモーが伝統的に続けてきた捕鯨の権利を支援していることのナンヤカヤを、この報告から汲み取って頂きたいのだが。

此処カクトヴィックのような場所の原住民たちは、鯨肉で生命を維持して居り、捕鯨は彼等の生活文化の重要な一部でもあるのだよ。

アメリカ政府が、セミクジラを絶滅の危機にある種族としてリストアップしているのは事実だが、その頭数は、既に1万頭以上に回復しているようだ。エスキモーたちが自分たちの生存用に捕るのはごく少量であり、種族絶滅の脅威とはならない。

さらに、ワタシはここで、ある種の偽善を指摘せずには居られない。もし、アメリカが、絶滅危機リストに載っている鯨を殺す権利がこうした原住民に有る、と主張するなら、何故、ノルウェーやアイスランドや日本などが、絶滅危機にカンケイない種類の鯨を捕ることを大声上げて非難するのか?彼等にとっても、捕鯨は伝統的文化の一部分ではないか?

例えばシロナガス鯨などは実際に危機に瀕しており、捕獲はアカンのや。これはワカル。しかしミンク鯨などは数十万頭も居り、絶滅の危機など無い。ミンクについては捕獲禁止はもうイランのや。殺すも救うも選択肢の中や。

で、捕鯨禁止に対して残るギロンは、「倫理」的なものだけ。鯨は高等な哺乳類だから、これを殺すのは「道徳的」でない、という意見。

これは鯨肉スシ(?)を追放するには絶好の理由だ。しかし、日本人が鯨を食べることを「倫理」で止めさせようというのは、キタナイ手だよ。「聖牛」を重んじるヒンズー教徒から見れば、アメリカの常食ハンバーガーなどトンデモナイことになるぜよ。

そりゃ、日本人やノルウェィ人の方が、エスキモーよりヨウケ居てはるし、日本の「科学的」捕鯨と称するモノが、「科学」より「スシ」目当てであるとしても、誰も鯨を絶滅の危機に追い込もうとしているワケではないのだよ。

ヒトツの解決策として、公海上の商業捕鯨禁止は期間延長するとしても、伝統的な捕鯨国(日本、ノルウェィを含め)が自国沿岸320キロ以内で、常識的数量の捕鯨を行なうことは許すべきだと思うよ。

タシカニ、「鯨」は旨い。しかし、アジアのディナー・テーブルに乗る「犬」もまた、旨いんだよ。

エスキモー式ダイエットをヤリタイがために、エスキモー族の捕鯨権利は認めておきながら、他の捕鯨国には同等の権利を認めない、と言うことであれば。

アメリカ野郎は、高い倫理性を持っとるんや無うて、単なる偽善者やんけ!


ウム。昨年の8月にも、クリストフ君は、捕鯨にまつわる西欧諸国の偽善性を指摘し、捕鯨禁止によって殖え過ぎた鯨が、食餌として鰯など小魚を大量に食べる結果、日本をはじめとする漁業国に被害を与えている事実を論じたのだよ。

論旨はオナジだが、今回は、「エスキモー式ダイエット」をキイワードに、たとえ少量であっても、絶滅の危険のあるセミ鯨の捕鯨を、エスキモーに許可する一方で、日本やノルウェーに対しては、「鯨は高等な哺乳動物である」というワケノワカラヌ「倫理」をタテに捕鯨禁止を主張する西欧諸国のスジの通らぬ「偽善性」を叩いたワケ。拍手。拍手。


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