U-MAIL(ウンコ通信) 2004/03/18
えー、アメリカのゴミを残らず食い漁る中国の巨大な食欲のハナシ。
「ヘラ鳥ウォッチング」
「CHINA'S RELENTLESSSEARCH FOR SCRAP」:03/16
「中国の未来はアメリカのスクラップから」
アンドリュー・ポラック&キース・ブラッドゥシャー
(ロス・アンジェルス発)
オモチャ、テレビ、その他、中国製品はアメリカ中に溢れ返り、アメリカの貿易赤字を記録的に押し上げているが、ヒトツだけ、中国が、死ぬほど欲しがっているアメリカ製品がある。それは、アメリカの廃棄物。
スクラップ金属類の中国への売却は急増し、アメリカ経済の中でモンダイとなって居るのや。スクラップだけではなく、金属一般の価格も急騰している。
多くの鉄鋼メーカーを破産させた何年かの過剰生産の後、供給は減り、アメリカの関係者は、先週、議会の公聴会で、価格にカンケイなく、鉄鋼が手に入らないとコボシたのだ。
昨年、中国はアメリカからスクラップを10億ドル買い付け、輸入国トップに立った。アメリカの金属市場業界紙によれば、中国が世界の産業発電所に変身したのは、アメリカその他の国の廃棄物のオカゲと言っても過言ではないと。
輸出品だけではない、中国国内の摩天楼、工場、通信システムなどに使用される原料のほとんどは、スクラップに拠っている。それは大抵、鉱石から作り出される新しい金属よりゼンゼン安いのだ。
「中国の食欲はスゴイ」中国生まれのスクラップ金属バイヤー、デヴィッド・パン氏は言う。ロス郊外の倉庫の床にスザマジイ、音を立てながら、ダンプが解体ビルの鋼材を運んで来てはブチまけている。「腹イッパイの原料が欲しいのさ」
10年前、パン氏は、ロスのレストランで働いていた。そこへ中国へ帰った親戚から、スクラップの買い付けを始めろとススメられたのだ。今や中国のブームで、パンの会社、「ユニヴァーサル・スクラップ・メタルズ」はウハウハだ。
パンのチャーターした船は、毎月500個のコンテナを中国に送り込む。その中身は、壊れたパイプ、金属の切り屑、ドアの把手、ツブサレた車、ナドナドのガラクタ。
その他、ユタ州のスティ−ル工場からの売れ残りも買い付けているが、それも「スクラップ」扱いで中国に送るのだよ。
米国にある、1200からの中小スクラップ・ディーラーも、このブームに便乗しているのだが。
「ヤツラはまるでバキューム・クリーナーさ、この国のガラクタを残らず吸い込んでいるんだ」ロスのスクラップ・ディーラーは、中国のディーラーのことを、そう表現した。
一方、スクラップに依存するアメリカの企業も必死だ。「スクラップを入手するのがドンドン難しくなって来ている」ローマ、NYに本拠を持つ「リヴィア製銅会社」のエライさんはコボす。「銅のスクラップ価格は天井知らずになってしまった」
銅、鉄鋼貿易業界は、政府に向け、スクラップ輸出を一時的に規制する請願を準備中。この手の規制は1970年代中頃に、一度だけ施行されたことがある。
鋼鉄スクラップは、1トン300ドル以上になっている。2001年には77ドル、2003年には156ドルだったのが。
多くの中小工場(米国の鉄鋼メーカーの半分を占める)は、ハネ上がったコストを、自動車工業、建設工業などのトクイ先に押しつけるしか無いのだ。当然、反発を食らっておるのや。
「鋼鉄の価格をここまで押し上げたのは、スクラップの高騰が最大の原因」とカンケイ者は言う。
たしかに、急増したスクラップ輸出が、高騰の原因ではあるが、アメリカの鋼鉄スクラップの輸出は、2000年以来、ほとんど2倍、昨年は1190万トン。中国は350万トンで、全体の1/3に達している。
しかし、スクラップ・ディーラーの言い分として、輸出量は年7000万トン、国内消費に比べれば小さいと。だが、価格上昇を輸出のセイにするな、この20年来、スクラップ輸出が、前年を上回ったのは数回に過ぎないと。
「別にオドロクほどのコトじゃないの」《スクラップ・リサイクル協会》長ロビン・ウィーナー女史は言う。スクラップ輸出を規制しようってのは、「スクラップの価格を支配するための煙幕よ。それは自由貿易をユガメることだわよ」
カリフォルニアの《メタル・X》社は、銅のスクラップを買い付け、巨大な炉で溶かして青銅と真鍮の鋳塊を作っている。それを鋳物業者に売り、業者は銅像からバルブまで、凡ゆるモノを造る。
この会社を作り、妻と二人で経営してきたティム・シュリッツ氏は言う。「去年は地獄の1年だったよ、70人の従業員を38人に減らしたのさ。リストラなんて、1979年の創立以来ハジメテのことだよ」
中国のバイヤーに対抗出来ないのがモンダイだと、シュリッツ氏は言う。「ヤツラはヌケメ無いんだよ。コッチが80セントがギリギリって時に、1ドル出すのさ」
もうヒトツのモンダイは、得意先が、中国の製造業者とのハゲシイ競争に負けて、落ち込み、時には業界から消えてしまうことだ。例えばバルブ、蛇口、その他の真鍮製品の製造業。
シュリッツ氏の顧客の一人、カリフォルニアのバルブ鋳造会社の経営者オマー氏は言う。「もう既に何百万ドル、ヤラレたよ、中国に」
要するに、中国企業は、いくらスクラップ値段を吊り上げても、それで造った製品を、アメリカの製品より安く売ることが出来ると言うワケだ。
アメリカの製銅業者は、中国は、銅スクラップの輸入業者にも、製品輸出業者にも、税金の還付というカタチの助成金を出している、と主張する。
「ワレワレが払わねばならない金属原料の価格より安い価格の鋳造製品が、中国からやって来るってワケなのさ」アメリカ《銅・真鍮協会》のエライさんは言う。
中国カンケイ者は、中国政府がスクラップ産業に助成金を出していることを否定する。
中国生まれのスクラップ商人、パン氏は、アメリカは、中国のスクラップ購入による恩恵を、もう少し評価して欲しいと言う。結局、アメリカ国内では決して利用されることの無い、ゴミ処理場に埋められたガラクタを買うのはワレワレなんだからと。
「アメリカ、中国、双方にイイコトをワレワレはやっているんだからね」と。
ウム。2年ほど前にご紹介した2本の記事を思い出す。振り返ってみると。
「アジアはアメリカの夢の島、リサイクルという名の危険ウンコ廃棄処」
最初の1本は、「危険の輸出:テクノ・ウンコはアジアに捨てる」というレポート。
シリコン・ヴァレーを始めとして、アメリカ国内で集められた電子機器ウンコの50%〜80%はコンテナに詰められて、中国、インド、パキスタン、その他のブンカ後進国へ輸出されている。
1997年にアメリカ国内に埋め捨てられた「電子ウンコ」は320万トン。数年の内に4倍になると見込まれている。
広東近くの村が、中古電子機器リサイクルの中心地となり、世界中のテクノ・ウンコがここに集まっている。
中古機器の中には1台につき、1800から3600グラムの鉛が入っており、これが環境を汚染する。界隈の地下水が汚染されるのや。
危険廃棄物の輸出を制限した1989年の国連条約に、サインしていない唯一の先進国がアメリカなのだ。
このレポートは、こう指摘している。「先進国内で、環境規制がキツクなればなるほど、無防備なビンボー後進国への危険ウンコ輸出にドライヴがかかる、と。
今回の中国のスクラップ・ブームは、こうした先進国後進国への廃棄物の「夢の島」が、ホントの夢の島になって来たということだ。様々なスクラップの中には、人体に危険なものもあるかも知れないが、その辺のとこ、今の中国では、未だモンダイにならない、ということかも。いずれにせよ、アメリカは身勝手なウンコの捨て所から「逆襲」されておる、ということやな。
2本目は、アメリカ鉄鋼業界の「落ち目」をエグッた記事。
「鉄ハ国家ナリ」と言うのはムカシガタリとしても、現代最大の「アメリカ帝国」の鉄鋼生産が、こんなココロモトナイ状態だなんて、この記事見るまで、ワメは全く知らなかったのだよ。人口42万のルクセンブルグ公国が、世界最大の鉄鋼生産国だってことも全く知らなんだ。
つまり、ヨーロッパでは、この年(2002年)、ルクセンブルグ最大、フランス最大、スペイン最大、の3社が合併して、《ARCELOR社》を誕生させたのだ。
その結果、アメリカ最大のU.S.スティール社の3倍、年間4500万トンの鉄鋼生産が可能になったのだ。
アメリカ、ペンシルヴァニアやオハイオの鉄鋼町同様、ルクセンブルグにもバカデカイ溶鉱炉が存在して居る。しかし、アメリカの溶鉱炉が、巨大溶鉱炉を稼働し続け、オッソロしいスピードで破産に向かっているの比べ、ルクセンブルグのこの巨大溶鉱炉は既に、1977年に稼働を止め、今では歴史記念館となっているのだよ。
その直ぐ傍に、小さな工場が建てられ、今では、巨大工場の、ほんの切れっぱし程度のコストで、屑鉄を溶かし、古い工場に匹敵する量の鉄鋼製品を造り出して居るのや。
工員数も1970年の5000人から1000人に減らした。ヨーロッパ全体を見ても、鉄鋼労働人口は、1980年の80万人から2002年には28万人へとシボっているのや。
ルクセンブルグは、もともと、鉄鉱石が潤沢に産出されたために、100年前から鉄鋼生産国になった。しかし今では、スベテの工場が、スクラップを溶かして使う小さな工場に切り替わり、鉄鉱石は掘る必要が無くなっておるのや。
ヨーロッパの政治リーダーたちが、小ブッシュの「鉄鋼保護関税」に怒って、26%の対抗的関税を発動したのも、コッチがこんなに苦労くの字で構造改革してるのに、アメリカはナーンモヤッテナイではないか、という苦情なのだよ。
まァ、アメリカの場合、鉄鋼業界の、退職者への年金と健康保険金の支払いが赤字財政の重荷になることが、ナーンモデキナイ理由のヒトツなのだが。
アメリカの経済構造にイロイロ「硬直化」が始まっておるヒトツの証拠やねん。は。