U-MAIL(ウンコ通信) 2004/04/13-2
えー、随分ムカシの話だが、朝鮮戦争の際、戦死した米兵の死体を日本で処理して米本国に送る仕事があり、その胸のワルクなるような即物的状況が、仕事に従事した日本人の口から世間に広まったのを想い出す。アルバイトとしては最高の手当てが払われたと言う。
それに比べれば、その殺伐感は数段落ちるとは思うけど、イラクの状況も今や、戦死者処理に、焦点が当てられて来たのだよ。
「ヘラ鳥ウォッチング」
「GRUELING TIMES FOR MORTICIANS DEALING WITH U.S.DEAD FROM IRAQ」:04/13
「イラクからの死体処理現場リポート」 ブライアン・ベンダー
(デラウェア州・ドーヴアー空軍基地・発)
今週金曜日には27体、土曜日には9体がイラクから空輸されて来た。復活祭になる日曜日の早朝にも、また何体かが到着する筈だ。
「カミもホトケも無いヒドイ話やねん、まァ、カミは居てはるのやけど」従軍牧師ジョン・グロスは言う。此処ドーヴァーの死体置場では、ヒトビトは遺体への「名誉・尊厳・敬意」を守りつつ働く。
先週のイラクでの激しい戦闘で、当基地には、2001/9/11以来最大数の戦死者が運ばれて来た。復活祭どころではない、死体確認、検死解剖、悲しみの家族へ渡す前の段階での遺体補修など、ゾっとする仕事に終始したのだよ。
グロス牧師が祈り捧げる簡素な軍教会から2300ヤード離れた場所にある死体置場で働くヒトたちは、復活祭の祈りもソコソコに、この日、やがて送られて来る予定の36体への用意に忙殺されていた。
普段は、この死体置場で働く男女は5〜7人、しかし今週末、その人数は100人に増やされ、キツイ労働に従事した。
「みんなニュースは聞きたがらない、これ以上悲しむ遺族を見たくないココロからだ」当基地の広報担当ジョン・アンダーソン中尉は言う。彼は遺体に付き添って、遺族に会わねばならないのだよ。
ここからカナリ離れた、テキサス州フード要塞では、小ブッシュが軍隊と共に復活祭を祝ったのだ。「オレッチは毎日、死者が少ないことを祈ってまんね。けど、オレッチがイラクでやってる事は正しいんよ。トドノツマリは平和のため、アメリカの安全のためなんよ」と来たもんだ。
海外で殺されたスベテの米軍人は、ここドーヴァー基地に運ばれる。棺を詰め込んだC−5ギャラクシー輸送機が、到着する。基地長官と6人居る従軍牧師の1人が、それを出迎える。棺は星条旗に包まれ、飛行機から運び出されると、滑走路横の死体置場に車で運び込まれる。付き添った牧師が短いお祈りを捧げながら。
ここドーヴァーで働く者にとっては、日常茶飯の風景だが、一般人の目に触れることは無いのだよ。
国防省は、遺体の写真撮影、観察を一切禁じて居る。しかしこの慣行は、小ブッシュの軍隊葬への欠席と共に、議会で批判に曝されて居るのや。特に、ヴェトナムでの捕虜経験持つマッケイン共和党上院議員は、アメリカ国民の目から戦争の実態を隠蔽するものとして批判を強めておる。
ここに「ドーヴァー・テスト」なるコトバがある。ドーヴァーに運ばれる戦死者数が何人に達すれば、この戦争がアメリカ国民のイノチと引き替えるほどの価値あるか?との根本的ギモンを引き出すか、と言うコトやねん。
「メディアを呼び込んで、《ドーヴァー・テスト》を実証させるようなことはしない」とアンダーソン広報中尉は言う。「それが国防省の方針です」と。
聖堂風雰囲気を感じながら死体置場で働くスタッフにとっては、毎日が《ドーヴァー・テスト》なのだよ。
ここで働くニンゲンは、みんな食欲減退、不眠、悪夢にサイナマレテ居る、と当局者は言う。
「シンドイ仕事やねん」とグロス牧師は言う。「実際に戦闘に参加したわけではないけど、その結果をイヤと言うほど見せられると、ココロがエグラレてしまうのや」
日曜礼拝で、グロス牧師は、とある若い女性予備役兵が、目を真っ赤にして、「アタシもうダメ」と言ったと紹介した。
スタッフに説教垂れる時、「時にはマジメに、しかし時にはユーモラスな話を交えないとアカンのや」と牧師は言う。
しかし死体置場で働く者にとって、その使命から来る緊張は並大抵では無い。軍のキマリとして、遺体は死後48時間内にドーヴァーに届けられることになっておるのや。
「私がオドロイタことのヒトツ、そしてアメリカ国民が知らない大切なことは、遺体がなんと鄭重に扱われているか、と言うことだ」グロス牧師は言う。「棺は封印され、二度と開けられない。しかし、その軍服はカンペキにプレスされているのだよ。修復というコトバは相応しくないが、その丁寧な遺体補修処置はコトバに尽くせないほどだ。」
先週戦死した10名の兵士の基地であるフード要塞では、この日曜日、小ブッシュが、アメリカの男女兵士及びその家族にとって、「最悪の一週間」だったと認めたのだよ。
小ブッシュは記者たちに、このモーレツな戦闘が何時まで続くかは「明言デキナイ」と。
しかし此処ドーヴァーでは、遺体が還って来なくなった時に、このイタミも終わるわけやねん。
復活祭などと言ってみても、他の日と変わらぬヒドイ一日に過ぎないのや。やがて9遺体が到着する予定になって居る。そこへ、ペンタゴンから追加連絡があった。イラクで、さらに2名の兵士が殺された、と。
ウム。よーするに、《ドーヴァー・テスト》の臨界点は近い、と言うことやねん。は。