U-MAIL(ウンコ通信) 2005/07/11
えー、「小説家」サダム・フセインが、乾坤一擲、アメリカ軍侵攻の前夜に書き上げた作品が、ナンヤカヤ話題になっておるらしい。「小説家」サダムについては、2002年10月13日の「ヘラ鳥」に、クリストフ君による紹介記事を載せた。ご参照下され。
「ヘラ鳥ウォッチング」
「SADDAM'SNOVEL FINDS READY AUDIENCE」:07/01
「獄中サダムの《新作小説》大向うネライ」 ハッサン・ファタ
(ヨルダン・アマン発)
サダムの新作《出て失せろ、呪われしヤカラ!》は、文学賞の対象とはならないだろう。異教徒たるシオニズム・キリスト十字軍の侵略に立ち向かうアラブの解放者が主役。紙のムダのようなものだが、なにしろ著者がサダム・フセインなのだよ。
亡命中のサダムの娘、ラガードが、186頁のこの小説をアンマンで出版すると発表。サダムの評価に関わるハゲシイ論争のネタを仕掛けたのや。
ヨルダンの新聞と出版当局は、これを直ちに「禁書」とした。だが、海賊版はたちまち売り切れ。
カンケイ者によれば、多くのヨルダン国民に評判のいいサダムは、たとえ裁判で、その暴虐な悪業が暴露されても、人気は保てるだろうと。
「多くの人々が、サダムに好意を持ってはる」アンマン下町の小さなキオスクの主人、ホラーニは言う。販売禁止令が出てから1時間内に、海賊版50部を売り捌いたと。「イラクでのゲリラ・レジスタンスが成功している今、サダムの人気はウナギ登りなんよ」
現在のイラクのシッチャカメッチャカ状態のオカゲで、兎にも角にも30年間、この国を掌握して来たサダムへの信頼が強まっている、とアンマンのカンケイ者は言うのだよ。
アメリカの作戦失敗、刑務所虐待スキャンダル、汚職などで、サダムへの支持が増えて居るのや。
「人々はサダム時代と今の政府を較べる。今の方がズット悪くなっていると感じている」ヨルダンの議員でアラブ国際委員会長、アブ・フデイブは言う。「こんな状態を見ている人々は、アメリカの宣伝は大ウソと分かって居るのや」
2003年のアメリカ進攻前夜に書き上げられたと言うこの小説は、アメリカのイラク占領の情景を先取りして居る。
小説は、アブラハムが息子たちに、悪魔のバビロン占領を警告する例のストーリーに沿って書かれて居る。ハナシは、貪欲なエゼキエルが、アラブ全土の征服と殲滅を狙う優勢なテキの助けを借りて、部族長の転覆を企てるところから始まる。しかし結局エゼキエルは、アラブの戦士たちの応援受けた部族長の娘に打ち負かされる。つまり、シオニスト・キリスト教徒のアラブ・イスラムへの策謀を断罪して居るわけや。
「自分の国を捨てても神に忠実な者だけが、勝利者になれる」語り手は悪魔に警告する。
この小説は、完成すると直ぐ、作者名ナシでヒソカに回し読みされた。2004年になって、汎アラブ新聞シャルク・アル−オ−サットがシリーズ化して出版、数多くのコピーがベイルートその他で印刷され、サダムの写真を表紙にした本が5ドルで売られた。
その最初の頁の著者手書きサインの日付は、2003年3月18日、アメリカ軍の侵入開始とピッタンコ。
娘ラガードの出版発表タイミングは、主権委譲1周年記念日、そしてサダムの戦争犯罪を裁く特別法廷の開始時期にマトを絞ったもの。
ラガードは本の編集、表紙デザインも手懸け、父親を称賛するアトガキまで書いて居る。
「ネライはサダムを大衆に向けて復活させること」ヨルダン新聞の経営編集者バルホウマは言う。「今、過去のヒトに成りかかって居るサダムを、国民感情に訴えて、表舞台へ引き戻そうというネライ」と。イラクのゲリラ跋扈の現状と、発禁措置が、この本にハクを付けたと言える。
ヨルダン政府は困ってしまってワンワンワンやねん。「この本の出版は、ヨルダンが秋波を送っているイスラエルとの連携への障害になる」と検閲カンケイ者は言う。「モンダイを起こしたくない」
この小説はサダムにとっては、第4作目。(前作については、2002年10月13日付けの当ヘラ鳥ウォッチングご参照下され)ホントに自分で書いているのか、ゴーストライターの手が入っているのかはアキラカでは無いが。
しかしアラブ世界では、教養と文章力は高く評価される。小説はサダムに偉大なアラブ・リーダーとしての、そして哲学者としてのイメージを与えるのや。
西側世界では、刑務所で自分の衣類の洗濯をする写真などが出て、イメージとして、サダムは疲れ切って色褪せたと見られているかもしれないが、どっこい、ヨルダンでは、彼の国際的な挑戦態度は評価されて居るのや。
「彼は復活を目指す強い男と見られて居る」新聞編集者バーフーマは言う。「誰もアメリカにNOと言えない時代に、サダムはその犠牲者として脚光を浴びるのを望んで居る」
ウム。一説によれば、サダムはハナから、アメリカ軍への正面切った抵抗はソコソコで捨てて、ゲリラ戦にシフトする戦略を立てていたと言う。ホントだとすれば、これはカナリの読ミやんけ。アメリカは、サダムの仕掛けた泥沼にハマって居るように見える。
サダムの裁判が遅れているのも、担当裁判官が暗殺されたりして、治安状態に不安があるのも事実だろうが、公開の裁判で、サダムに大演説ブタレるのがコワイと言うところもある。
ギリギリに書かれたこの小説も、裁判と平行して、サダムの自己顕示チャンスを拡大するための、用意周到な仕掛けなのかも。
小ブッシュは、「終幕」は見えて居る、などとヌカシて居るが、台本ミエミエのこのドタバタドラマ、サダム裁判と言う間狂言をハサンで、ワグナーの楽劇モドキ、延々と続きそうやねん。