U-MAIL(ウンコ通信) 2006/05/26
「ヘラ鳥ウォッチング」
《CLASS IN AMERICA》
「アメリカの社会的階級」第1回
★10回連続記事:2005/05/16〜06/13
これは、社会的経済的な階級が、無限のチャンスの国としてのアメリカの運命に、どう影響を与えているかを検証する記事の集大成。
1)《AMERICAN LADDER IS TOUGH TO CLIMB》
「アメリカのハシゴを昇るのはタイヘンだ」
ジャニー・スコット&デヴィッド・レオンハート
かつて、アメリカ人は、「階級」についてギモンを持たなかった。上流階級は、休暇をヨーロッパで過ごし、信仰はエピスコパル(監督派)。中流階級は、フォードのフェアレーンを乗り回し、サン・フェルナンド・ヴァレイに住み着き、株式会社の社員。労働者階級は、組合に所属し、民主党に投票し、カリブ海クルーズなんかには縁が無い、と言った具合に。
今や、アメリカは階級無き社会へ向かって居る。アメリカ国民全体が、お祖父サンの時代だったら眼パチクリの贅沢に浴して居る。社会の多様化が、ムカシ風の区別を消してしまった。服装やクルマや支持政党や宗教や肌色から、人々の社会的地位を読み取るのはムズカシクなったのや。階級の輪郭がボヤケてしまった。階級なんて消えたんちゃうか、と言う人も居てはる。
しかし、アメリカン・ライフの中で、階級は依然として力を持って居る。この30年間に階級の力は、むしろ、より重要な役目を果たすようになって来た。
教育が益々大事になって来た今、学校の成績はピッタンコ階級にリンクしている。
国が人種の統合にイッショケンメなのに、カネモチ達はそこからドンドン離れつつある。
医療の進歩はメザマシイのに、健康と寿命の階級差はドンドン広がって居る。
そして、家族の「経済的階段」の昇降に関する新しい研究によれば、その「移動」の幅は、経済学者の考えるよりハルカに、一般人の考えるよりもカナリ、小さいのだそうだ。
実際には、第2次世界大戦後の何十年間に、アメリカの労働者の生活向上がもたらした「階級移動」は、最近では平坦化し、あるいはむしろ減って居る、と。
「階級移動」こそアメリカン・ドリームの核。「持つ者」と「持たざる者」の間の広い裂目を埋めるもの。それが停滞しているように見える現在でも、エリート階級への扉はヒラカレて居るのや。誰でもが、最高裁判事になれる。大企業の経営者になれる。自力の百万長者がゴマンと居てはる。
昨年のフォーブ誌の米国カネモチランキング・トップ400人の内、遺産継承者は37人だけ。1980年代には200人居たのに。
つまり、ごく少数の大成功者にとっては、カネモチの頂上に登り詰めることはカンタンに見えるが、大多数にとっては、経済的階級をヒトツ上がることは、容易では無いのや。
そのニンゲン自身の価値(メリット)が、親から受け継いだ特権システムを凌ぐ時代だが、その価値も、実は階級の恩恵を受けて居るのや。親の経済力、教育、コネ、といったものが、子供の秀才度に反映するのだよ。
イイ学校が在る区域に家を持つこと、子供をイイ保育園に入れること、イイ医者の居る土地に住むこと、などが社会的に静かな戦争になって居る。富裕で高学歴な者が勝つ。
世襲とかクラブ会員とか言った古いシステムは消滅した。経済的不平等が社会に与える影響についての研究によれば、古いシステムに代わって、そのアドヴァンテージを上手く伝える新しい方法が興って来たと。
NYタイムズの、階級に関する世論調査では、アメリカ人の40%は、ある階級から上の階級に昇るチャンスは、この30年の間に殖えたと思っているが、実はそうでは無いと。ちなみに、35%は変わらないと、23%は減ったと思っている。
社会的複雑さが、階級という概念を無意味にしたと言う社会学者も居てはる。収入、ライフスタイル、支持政党、みんなバラバラで、社会慣習としての階級にはならぬと。アメリカ社会は「ヤタラ沢山の段があるハシゴ」だと。この段をより高く登るために、子供たちには、より高い教育と医療保険を与える。しかし、これは階級とは言えない。
しかし異論もある。「階級がアメリカ社会を再編成しているまさにその時、階級の自覚と言語は退潮気味だ」
1987年に、後にノーベル賞貰ったシカゴ大学のエコノミスト、ゲーリー・ベッカーは言った。米国内の階級移動性向は高い、だから階級アドヴァンテージが、ヒトツの世代から次の世代へと受け継がれることは少ないと。事実、研究によれば、特権階級の子孫とビンボー人の子孫の社会的ポジションはほとんど差が無い。
そうだとすれば、1970年代中ごろからの収入格差の増大にクヨクヨすることはない。ビンボーと繁栄を出入りしていても、トップとドン底のギャップなんてメじゃない。
しかし、この移動性の研究は資料の取り方にモンダイあり、とエコノミストたちは言う。10年毎に人々の収入を論理的に追跡した新しい研究は、移動性は小さいと見て居る。
経済的アドヴァンテージは2〜3世代続くとされていたが、今は5世代続くと考えられて居る。
オドロクべき発見は、階級移動性はアメリカよりも、英国やフランスの方が高いという事実。カナダや、スカンディナヴィア諸国よりもアメリカの方が階級移動性は低いのだ。しかしブラジルのような後進国では、ビンボーからの脱出がムズカシク、下層階級はほとんどその位置に凍り付いて居るのや。
もうひとつ、最近の研究で分かったことは、アメリカは移動性マシーンを作れることで、ヨーロッパと異なる。アメリカでは、カネモチとビンボー人とでは、親が子供に投資する差が大きい。多分そのために、アメリカでは、デンマークやオランダやフランスよりも、子供の経済的背景が、学校の成績に影響するのや。
アメリカでエリートの家に生まれることは、世界でも滅多に経験出来ないほどの特権をイミする。アメリカでビンボー人の家に生まれることは、西欧や日本やカナダよりも不利をイミする。
なのにナゼ、アメリカン・ライフでのチカラとしての階級が消滅したように見えるのか?ひとつには、「所有」の位置をどう読むかがムズカシイのだ。カメラ付きケイタイやその他のゼイタク品なら誰でも持っている。規制緩和によって、ヒコーキのチケットや長距離デンワなども誰でも手に入る。
消費パターンと同じく、政治的な色分けもチッチャカメッチャカ。1950年代には、知的職業者は共和党支持だったが、今は民主党に傾倒。技術労働者も民主党一辺倒からバラバラに。
宗教に至っては、もはや階級にカンケイない。南部の経済力の成長は、福音主義者を中流あるいは上層中流階級に押し上げた。
かつては人種と階級の間にシッカリ在った因果カンケイも、弱まって居る。アフリカ系アメリカ人でも中産階級もしくは上層中産階級に登れるのや。あらゆる種類の差異、人種、民族、性別などが階級見取り図をヤヤコシくして居る。上昇のルールが変わったのや。
グローバリゼーションと技術革新が、かつては中産階級の滑り止めだった工場を閉鎖させ、職を奪った。今や手作業労働は1日2ドルの後進国に委ねられ、技術と教育が重要になった。
こうしたことが、異常な収入の不平等を生み出した。1979年から2001年の間に、アメリカの上層1%の家庭の税引後収入は139%増えて70万ドルを超えたのや。
1/5の中流家庭では17%増えて4万3700ドル、1/5の貧困家庭では9%増えただけ。
明らかに、4年制大学での学位取得は様相が変わった。30年前に比べ取得者は増加したが、そこには矢張り階級の力が働いて居る。有名250校の生徒の内、上流階級出身の割合は増加して居る、減ってはいない。
健康度についても、大きな差があるのや。平均寿命は一般的に伸びたが、上層中流階級は下層階級より健康良好で長生きする。
かつて人々は老後のリラックスのためにセッセと働いてカネを稼いだ。しかし上流階級家庭の新しい型としては、歳を取っても親は働き続け、それを誇りにして居るのや。
1973年には、この国の10%の上流階級は、下層10%より働く時間は短かった。現在は、上流階級の方が長時間働くのやで。
ウム。ほとんど同じやんけ、今の日本の社会状態と。ただ、アメリカの「階級」は王族や貴族の血統などにはカンケイない。ヨーロッパから持ち込まれたナンヤカヤは多少あるにしても、ほとんどは独立戦争、南北戦争、などのドサクサに紛れてシコタマ儲けた連中が初代、よーするに「戦争成金」が土台になっている「多民族風実験国家」なのだよ。