U-MAIL(ウンコ通信) 2006/06/13-3
《CLASS IN AMERICA》
「アメリカの社会的階級」 第6回 :05/05/27
6)「《ON THE BOTTOM RUNG, AND STAYING THERE》」
「メキシコ移民は階段を昇れるか?」 アンソニー・デパルマ
(紐育・発)
人気の無い夜明け前のマジソン・アヴェニュー、高級ブティックのシャッターはまだ閉まったまま。5、6人のヒスパニック系が、「NYで一番高いコーフィー店」と呼ばれる、「3−GUYS」の中に潜り込む。これからの10時間、彼等はタマゴを揚げ、バーガーを焼き、コーフィーを注ぎ、皿を洗う。マンハッタンのアッパー・イーストサイドから流れこむ客のために。
7:35までには、NYの法務長官エリオット・スピッツァーがピカピカの花崗岩カウンターで朝食を摂る。数時間後には、何十億ドルの資産を持つインフィニティ放送の創立者マイケル・ウィナーが夫人と共に軽食を摂る。
午前中イッパイ、ヒスパニックは代わりばんこに働き続ける。3軒のギリシャ料理店の持ち主ジョン・ザニコスが、自分の店の昼食ラッシュを捌くために、北ジャージーの自宅からクルマ乗り付ける頃には、マジソン・アヴェニューも、3−GUYSも大混雑だ。
「カネモチの顧客」「中流階級の店主」「下層階級の労働者」、此処3−GUYSは、アメリカの階級の展示ウィンドーやねん。2ツの大きな格差の物語の場所でもあるのや。
よく知られているのはジョン・ザニコスの物語。ムカシ不法移民としてNYに到着した彼のポケットには100ドルしか無かった。彼にとってはレストランこそ、移民労働者のアメリカでの成功への夢を達成する場所だった。
しかし、34才の不法移民、ホアン・マニュエル・ペラルタは、此処で5年働き続けた末にクビになったのや。彼のような不法移民ヒスパニックにとって、レストラン労働は、行き止まり小路なのや。
ザニコスのように、アメリカン・ドリームを成功させるのは、なかなかムズカシイ。彼はヒスパニック移民たちを援助しようとするが、手に技術もなく教育も無い彼等は、ビンボー下層階級から脱出できないのや。でも、500万のヒスパニック不法移民の大部分が、この暗さからヌケられないことを強調するツモリは無い。多くの移民がヌケ出る意志を持っていることはタシカだ。
しかし、年に40万人以上が、確たるアテもナシに国境越えて、モンダイを発生させる。結果として、低賃金労働代替要員のプールを形成するわけや。
アメリカ国内のヒスパニック25万人が、ムカシからの移民成功物語の例外かどうかで、政治社会学者の意見は2ツに分かれる。
NY市立大学のジョン・モレンコップ教授の説。ヒスパニックも結局は、前世紀のギリシャ、イタリア、その他のヨーロッパ移民同様、2、3世代後には上手く定着する。
これに対し、NYのコロンビア大学教授、メキシコ系のロドルフォ・ガルザは言うのや。メキシコ系には、4世代経っても、教育、持ち家、家族を養える収入について多くのハンディキャップがあると。
一番大きな障害は、「違法」の身分。合法への道は狭い。多くはペラルタのように、種々の権利や保証や未来へのハッキリした見通しを持てない。
NY州立大学の社会学者、リチャード・アルバは言う。「今後、この状態が改善されるとは思えない」
たしかにペラルタの立場は、この15年間、変わっていない。しかしメキシコで夢見たよりはチョット良い、中流階級の暮らしの中に居る。彼は未だ夢を捨てたわけではない。
ペラルタは19才の時、面識のない8人のメキシコ人と共に、ケムリで真っ黒なバスに乗り、下水道トンネルを潜りヌケて、国境を越えたのや。
NYに着いて伯父に電話し、伯父の働いていたパン屋に就職、パートタイマーとしてマフィンを焼いて居ったのや。
1995年に、自分の成功した姿を見せたくて、メキシコに帰った。マチルダと言う名のシャイで美しい娘の結婚して、再び不法移民としてNYに戻ったのや。1996年に子供が生まれ、これでは家族を養うための貯金など出来ないと気が付く。そして1999年、3−GUYSに就職したわけだ。
レストランは彼の学校だった。まるでゲージツのように魚を焼くことを覚えた。給料も良かった。
違法移民者であるために、搾取されることも。クィーンズ地区の、わずか3メートル四方のアパートに月500ドルもの部屋代払わせられても、家主に文句言えなかった。このアパートは全体で月2000ドルの家賃。他の9人の仲間と共同で借りたのや。13人にヒトツのバスルーム、台所はなかなか使えなかったので外食費が高くついた。
3月に店主とケンカして、ペラルタは失職した。3週間の後、NYの他の地域で、やはりギリシャ料理の店に「グリルマン」(焼き方職人)として就職した。給料も料理のメニューも、ほぼ同じ。NYにやって来た時と変わらず、未来へのチャンスを夢見て居るのや。
ウム。越境阻止する高い壁など造って、一見、法律強化するようなポーズ見せつつも、実はメキシコ不法移民は、アメリカの労働市場にとっては一種の安全弁やんけ。さらに「アメリカ市民権」エサに「イラク工場」での「戦争労働者」として利用せよと言う声もあるのやで。