U-MAIL(ウンコ通信) 2006/07/14 


えー、EUカンケイのハナシ。目下25ケ国だが、フランスとオランダが国民投票でEU憲法の批准反対。イロイロ波風立って居る。特にトルコの加入に関しては、1993年のマーストリヒト条約の提示する条件とのクイチガイがある。地理的に「ヨーロッパの国であること」はOKだが、イスラム教徒の慣習が「基本的人権」と相容れないのやねん。2本の記事をご紹介致す。


「ヘラ鳥ウォッチング」

「FOR A CHIEFTAIN, 5 WIVES ARE 4 TOO MANY」:07/07

「EUとしては、クルドの一夫多妻はエンガチョや」 ダン・ビレフスキー

(トルコ・イシクラー発)

5人の妻、55人の子供、80人の孫、400頭の羊、500ヘクタールの土地、小型の武装従者団。どう見ても、アガ・メハメット・アルスランは一夫一婦制擁護者ではない。
でも、64才のクルド人村長は言うのや。もしもう一度、若返れるなら、ヨロコンデ、4人の妻は下取りに出すよ、と。

「5人を娶るのは、別に罪じゃないわな。権力のシルシなんよ」大きな部屋の寝椅子に引っ繰り返っているアルスラン。壁には、トルコの改革者アタチュルクの肖像画がデンと掛かって居る。アタチュルクは1926年に、多妻を禁じたのや。

「だがワシは、もう沢山だ。それぞれの妻に、離れた場所に家を建ててやり、子供の名前も覚えにゃならぬ。若い頃、ワシは無学だったし、アラーの神は、殖えよ、地に満ちよ、と仰せられたのだよ」

トルコ共和国の近代化と女性の向上のため、アタチュルクが禁止した多妻制だったが、トルコ7000万人口の1/3を占める、クルド人の住むアナトリアでは、この制度がコーランの教えの下に、慣習として根付いて居る。

イスラムの伝統を持つ国々では、この一夫多妻制が、共和制の世俗主義との間に、ブンカ衝突を起こして居て、トルコの場合も、EU加入への障害となって居る。

多妻制による結婚は、国家としては認めない宗教上の慣習だから、妻たちに法律的権利は無く、モメ事があった時の立場はヨワイ。多妻結婚を司祭したイスラム僧は、3年の刑罰の対象になる筈だが、この地方の当局者は目をツブルのがフツー。それほどこの慣習は土地に染み込んで居るのや。

「EUは何事につけ、トルコに難癖つける。一夫多妻制はトルコが後進国であることの典型的例証とされるのだよ」女性擁護センターのコスクン所長は言う。

2年前、エルドガン首相は、一夫多妻を「姦通罪」扱いにしようとした。彼の率いる党の有力メンバーが2人の妻を持っていると言うウワサが出た後だった。しかしEUから、姦通にまで国が干渉するのか、と批判されてこのココロミを取り下げたのや。

一夫多妻はしかし、トルコだけではない、イスラム教西アフリカや、サウディのような伝統的アラブ諸国、さらにはアメリカ国内でもモルモン教の例もあるのだよ。

トルコ一夫多妻制は、オットマン時代からの慣習で、勢力と精力と財力誇示のシンボルだったのや。社会学者オット教授によれば、男子は家族によって見合い結婚(ARRANGED MARRIAGE)させられるケースが多く、子供が出来ない場合、2人目の妻を娶る。寡婦や孤児になった娘を娶るケースもあり、これは一種の社会保障なのだと。

「この地域の男子は、13才位で強制的に結婚させられる。だから自分自身で妻を娶ることは親への反抗と自立の表現なのだよ」

この田舎村イシクラーの、300人の住民のほとんどは、村長アルスランの子孫なのや。苗字はみなアルスラン。アルスランとは、男らしさの象徴ライオンを意味する。

アルスランは自分の生き方を後悔してると言う。息子たちには2人目の妻は持たせない。娘たちにもお説教する。「ワシは天に恥じるようなことは一切して居らぬ。酒は飲まないし、他人を尊敬してる。だが沢山の妻を持ったことがモンダイなのや。彼女等の嫉妬がスゴイのだよ。ワシのルールは公平平等。だけど愛無く結婚した最初の妻の、2人目の妻への悋気はスゴかった。3人目にたいしては、2人は結束した。ワシも手を覚えたのや」

土地、不動産、店などを沢山所有しているアルスランだが、孫たちの養育費はタイヘンだと言う。「靴屋で孫たちの靴をイッペンに100足注文した時は、靴のセールスマンと間違われ、問屋へ行けと言われたぜ」

最近、路上でケンカしている2人の若者に説教した。ケンカはお前たちの家族の恥だと。すると1人が言った「ボクのこと覚えてないの?アンタの息子じゃん」

女性擁護センターは言う。2人目以降の妻の存在は「見えない」ので不利だと。法的な結婚でないので、虐待、レイプなどの危険がイッパイだと。

生れ付き盲目の31才の女性の例。家族に強制されて結婚させられた。相手は従姉妹の夫で、従姉妹に子供が出来ないからだった。結婚式の夜分かった、夫は61才だったのや。15才から6ケ月の赤ん坊まで7人の子供を生んだ後、夫は、とても家族を養えない、と家出してしまった。彼女は他の村に引っ越し、子供と一緒に乞食をしているところを、発見されてセンターに引き取られた。

アルスランは言う、一夫多妻は時代オクレな慣習、だんだん廃止するべきだと。「アラーはワシが家族に与えるべきものをワシに与えて下さった。しかし幸福になりたかったら、妻は1人の方がエエ」


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