U-MAIL(ウンコ通信) 2006/09/25 


えー、女子学生キャシーを従えた旅先のカメルーンで、クリストフ君のお説教は続く。


「ヘラ鳥ウォッチング」

「THE DEEP ROOTS OF AIDS」:09/20

「エイズ発祥の地にて」 ニコラス・D・クリストフ

(カメルーン・ヨカドウマ発)

証言によれば。70年ほどムカシ、このカメルーン東南部の人里離れた森林地帯のドコカで、一人の男がビョーキのチンパンジーを虐殺した。そして「エイズ」ヴィールスが発生した。

当地のチンパンジーは、類人猿の免疫不全ヴィールスの系統を継いで居る。(つまり、HIVの猿版だ)そのヴィールスは遺伝的に人間に近いのや。で、科学的に憶測すれば、そのヴィールスが当地で人間に取っ付き、川に沿ってコンゴのキンシャサへ南下し、そこから世界に拡がった、というワケだ。最初に発見されたデータは、1959年、キンシャサにて、となっている。

オレとキャシーは、エイズが生まれた当地の人々にエイズについて語り続けて来た。なぜってワレワレがエイズに対して効率的に取り組まない限り、世界は、グローバル・ビンボーに対処出来ないだろう。当地でも明らかにお手上げなのだよ。

ワレワレはパスカル・ントンバの遺族と会った。庭の土が新しく盛り上がって居った。2週間前、そこに埋められた彼は、20人の家族を養う一家の働き手だったのや。ントンバの暮らし向きは比較的良好だった。木材使った家に住み、子供たちの手に職を付けさせるため、技術学校に通わせていた。だがパスカルは発病して働けなくなり、家族は貯えをスベテ彼の治療に当てた。初めはムカシからのマジナイ療法に頼り、次に医者に診てもらった。ドッチも効かなかった。

理論的には、エイズを抑える抗レトロヴィールス薬は当地でも手に入る。しかしそれは、市街地の中流階級の患者のためのもの。僻地に住むフツーの人々には、薬剤を入手するチャンスは殆ど無い。で、パスカルは死亡し、家族は路頭に迷って居るのやねん。

「今朝から何も食べるものが無い」と父親ヴァレレは言う。女たちは、原っぱに出てカッサヴァの葉っぱを掻き集め料理して夕飯にしようと。森へ行って食用になる植物を探そうと。でも、それでは栄養失調になる。

技術学校に行っていた子供たちは、おカネが無いので退学した。子供たちの一人、19才のハーミンは、中年の男に言い寄られ、贈り物と交換に、ワシのオンナになれ、とアブナイ状況に在る。アフリカに多い、こうした例から、若い女性のエイズ感染率が高まるのだよ。「でも、アタシはそれに乗るっきゃないわ。結局オカネは要るんだから」

この家族の苦境を見れば、エイズが、人々を殺すだけでなく、世界の最貧の人々を、更にビンボーに陥れるビョーキであることが分かる。南アフリカの国々は、このところエイズ対策にやや光明が見えて来たが、カメルーンなど中央部の国々は、このビョーキのオソロシサに、まだ目覚めて居ないのだよ。

大きなモンダイは、世界中のエイズ罹病者の90%が、それに対して無知であることや。それでは手の施し様が無い。例えば当地では、死亡したパスカルの家族の誰もHIVテストを受けて居ない。「自発的にテスト受けるように」と言うだけでは効き目は無いのやねん。その不徹底さが何百万の犠牲者を出して居るのだ。

このマンネリを変えるべき時やねん。さよ、モンダイは多い。プライヴァシーは保護すると言うタテマエはあっても、テスト陽性者はエンガチョされ、村八分になってしまう。一方で、状況は刻々悪化の一途。2020年までに世界のエイズ死者は7000万人に達すると見られて居る。

だから、エイズ蔓延国に於いては、医療に関わる者、結婚する人、軍隊に入る者、公的サーヴィスに就職する者、妊娠した人は、すべてテストを受けるべきなのや。そして、同時に、陽性だった人々が治療を受けられるようにせねばよ。

テストに重点を置くことは、小ブッシュのスンバラしい対エイズ計画に含まれて居る。これで900万人のイノチが救われるだろう。次年度にも延長が望まれる。小ブッシュの最良の遺産として残るであろうこの計画は、さらに予算を注ぎ込むことが望ましい。コンドームなど使うな「禁欲」せよ、と言うヘンな考えはサッパリ捨てて。

世界では相変わらず、毎日8000人がエイズで死亡し、1万4000人が新たに罹病して居る。現在の対策ではとてもじゃないが不十分であることを認識せねばならぬ。HIVテストを積極的に拡げ、パスカルの防げた死や、ハーミンの身売りなどを、次の10年に持ち越さないようにせねばよ。


ウム。ビンボーとエイズのカンケイ。ビンボーだからエイズに罹ると言うより、エイズを克服しないとビンボーを克服出来ない、ということや。ところで、同伴キャシー嬢の反応はどーなのか、それをレポートして欲しいよ、クリストフ君!


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