U-MAIL(ウンコ通信) 2006/10/13 


えー、そう言われてみれば、ナルホドその通り、ということがある。「戦争」が日常の中に組み込まれると、一般国民と「当事者」の意識に大きな差が生じる。これはアメリカのハナシだが・・・


「ヘラ鳥ウォッチング」

「SACRIFICE OF THE FEW」:10/13

「ヒトまかせの戦争」 ボブ・ハーバート

(テネシー・カークスヴィル発)

下士官マイク・クラウスは想い出す。ついこの前、イラクから帰って来た時のことを。軍服を着て空港を歩いていると、旅行客たちが気付いて拍手喝采し始めたのや。

「みんな畏敬の目でオレを見て歓声を上げ拍手するんだ。そりゃカッコイイさ。でも、アンタたちは、ナニを知ってるんだ。オレは心の中でつぶやいたのさ。このオッサンは仕事でトレドとかに向かうところ、あのオバハンはヴァケーションに出掛けるところだろう。みんなフツーに暮らして居る。だけどコッチは、直ぐにまた、地球上でもっとも異常な場所に飛び帰るんだぜ」

異常とはどういうことか、24才のこの下士官は、イラクでヤラナケレバならない最悪のシゴトを、ためらいがちに説明してくれた。「スゴク言いにくいコトだけど、オレたちの仕事は、飛行機に積み込むことさ、そう、英雄たちの遺体を、だよ」

「オレの隊長はヒトツのヤリ方にコダワルのさ。下っ端の兵隊には任せたくないのだよ、この仕事を。秘密にやりたいってワケじゃない」

「それが、どんな感じなものか、説明するのはキツイ。名前までよく知っている仲間の遺体を飛行機に積み込むのさ。遺体を入れたバッグがどんなに重いか。180ポンドというソイツの体重だけじゃない。ソイツの全生涯の重さを担ぐのさ、オレたちは」

第101航空隊勤務のクラウスは、テネシー州とケンタッキー州境のキャンベル要塞に程近い、静かな中産階級の分譲地に住んで居る。ジーンズとポロシャツに着替えてリヴィングルームに寛いだクラウスはホっとして居た。神経を磨り減らす3回の戦場派遣、アフガンに1回、イラクに2回、計2年間、それを終えて今、安住の故郷に居るのだ。

婚約者も居てはるし、もう直ぐ、近在のオースチン大学から学位を受ける予定もある。アラバマ州の高校生時代から始まった軍隊とのカンケイは、あと数ケ月でオシマイや。

しかし、アメリカ国民の、ほんの数パーセントのニンゲンの肩に、イラク・アフガニスタン戦争の重荷が担わされていることを語る時、彼の声の底には激しいものが感じられた。
「こうした犠牲は頒け合われるベきやんけ。アッチでどんなことが起こっているのか、その心配を社会は共有するべきやんけ」

「いいかい、今現在、アメリカ国民の、ほんの一部の家族が、その犠牲を負わされて居るのさ。人々はよく言うよ。《ワレワレはスバラシイ人達を戦争で亡くした》と。ちょっと待てや。ワレワレだって?アンタたちは、誰も亡くしていないじゃんか。そやろが!」
多くのアメリカ人が、戦争などにカンケイなく、自由に日常を送ってる一方で、何万人の部隊が、繰り返し繰り返し、戦闘地域に送り込まれて居る。イラク・アフガン派遣支援グループによれば、今年に入って派遣された陸軍9万2000名の内、2/3は、2回目、あるいは3回目のオツトメなのだ。クラウスもそうだが、多くの将兵は、3、4回派遣されて居るのだよ。

アメリカのように、巨大で裕福で健康な国家が、こんな危険で重い仕事を、ごく少数のニンゲンの肩に担わせている事実を、正当化することが出来るか?

クラウスは一枚の写真を見せて呉れた。妹の婚約者だった23才のウエスト・ポイント出身のデニス。昨年11月、イラクで4人の仲間兵士と共に、道路脇に仕掛けられた爆弾で殺されたのや。

デニスの母親と婚約者の深い悲しみを目撃した時、「戦争犠牲者」の真のイミを悟ったとクラウスは言う。

クラウスは自分の勤務に誇りを持って居り、軍隊を愛していると。「でも、ワレワレは国家の戦争を戦っているんだろ?なら、国民全体が共に戦うべきやんけ」

彼は言う。もしここに、魔法の杖があるなら、全国民勤務義務化へ、一振りしたいと。「軍隊に入らなくてもいいさ。赤十字で働くなり、ホーム・セキュリティに尽くすなり、ナニか出来ることがある筈やねん。それが社会的義務と言うもんだろが。なんたって、今は戦時中なんだから」


ウム。サベツに敏感なボブ・ハーバートの考え方。異論はイロイロあるとしても、ヒトツの盲点的真実をズバと突き付けられた想いはあるぜ。


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